新潟県三条市の「学校給食ミルク事変」にまつわる参考リンク集

2017年3月30日

フムフムで「学校給食における牛乳の是非」についてコラムを書いた。

学校給食「牛乳廃止」の衝撃 | [フムフム]

学校給食「牛乳廃止」の衝撃 – ネタりか

新潟県三条市が、2015年から「給食時間の牛乳提供をやめた」ことについて、日本の学校給食の歴史をおさらいしながら総括してみた。

じつは、上記コラムのなかで「あえて書かなかったこと」がある。関係各所からの抗議を受けたくないからだ。

三条市の決定に対する「Jミルク」の抗議声明

真偽は定かではないが、都市伝説にすぎないかもしれないが、おれは決して信じてないけれど、悪質なデマに違いないのだが、巷のウワサでは「学校給食にまつわる利権」が存在するという。コメ、牛乳、etc……

ここで詳細を論じるつもりはない。たしかに学校給食の歴史をひもとけば、昭和50年まで主流だった「パン給食」は、アメリカ小麦企業の在庫を押しつけられた結果にすぎないとか、当時の給食で提供されていたミルク(脱脂粉乳)も同様であるとか、日本の酪農は補助金(自粛のため省略)一般米を魚沼産コシヒカリと同じ価格でvあwせdrftgおづふぉあじゃlmかだとか。がんばって農業や酪農をしているひとを貶めるひどい噂がある。じつにけしからん。そういう不届き者は、おれが天に代わって成敗してやる。

新潟県三条市が2015年に「牛乳抜きの学校給食」を実施することを正式決定したあと、一般社団法人Jミルクという団体がプレスリリースを発表した。

新潟県三条市の学校給食用牛乳供給中止の決定に対する見解 | Jミルク

上記プレスリリースを抜き書きするとすると、

「これまでの学校給食の仕組み、関係者の永年の努力や経験を無にするものであり、残念」

「牛乳とご飯が合う、合わないは個人の味覚の問題」

「一部の情緒的主観的な意向が強く働いているように感じられ」

……など、いわゆる「遺憾の意」を表明している。

会員名簿 | Jミルクについて | Jミルク

Jミルクの正会員には「一般社団法人 日本乳業協会」「全国農協乳業協会」の名前がある。前者は「明治」「森永乳業」や「雪印メグミルク」が加入している団体である。

正会員|会員名簿|一般社団法人日本乳業協会

つまり、先に挙げた「牛乳廃止に対する遺憾の意をあらわしたプレスリリース」は、日本における生乳生産者や乳業関係者の総意と受け取れる。

三条市の政策決定は適切におこなわれたのか?

三条市の牛乳廃止は、時間をかけて慎重に決定された政策だ。すくなくとも九州北部の某自治体のような思いつきで決めたものではない。

2015年に決定された「市内30校における学校給食の牛乳提供中止」について、新潟県三条市は長いあいだ検討を重ねてきた。くわしくは、おれが書いたコラムを参照してほしいのだが、牛乳廃止の決断に至るまでに10年以上の歳月を費やしている。慎重に慎重を重ねたうえで政策決定をおこなったのである。

たとえば、三条市役所政策推進課のウェブページでは、市民から寄せられた意見に対するQ&Aを公開している。賛同の声だけでなく、牛乳にふくまれるカルシウムの必要性を訴える意見についても誠実に回答している。

市長へのたより 学校給食の牛乳廃止について(1) – 三条市

学校給食の牛乳廃止について(2) – 三条市

学校給食の牛乳廃止について(3) – 三条市

学校給食の牛乳廃止について(4) – 三条市

学校給食の牛乳廃止について(5) – 三条市

学校給食の牛乳廃止について(6) – 三条市

おれ個人の見解を述べるならば、日本一のコメ収穫量をほこる新潟県内の自治体である三条市は「正しい政策」を選択したと考えている。括弧つきで「正しい」と書いた理由は、ここでは述べない。

パン食と完全給食の呪縛

三条市がやりたかったのは「週5回の米飯給食」であって「牛乳廃止」ではない。日本屈指のコメどころにおいて完全米飯給食を正当化するために牛乳を排除した三条市が、結局は「ドリンクタイム」を採用したことからもわかる。

給食の牛乳を廃止 新潟・三条市 別の「ドリンクタイム」で提供 – 産経ニュース

ほかにも「学校給食法」ならびに文部科学省が定める「学校給食摂取基準」を知れば、日本の義務教育から1日1回の飲乳習慣を排除するのは不可能に近いことが察せられるはずだ。

学校給食実施基準:文部科学省

学校給食実施基準の一部改正について:文部科学省

学校給食がクリアしなければいけない栄養摂取量は、児童や生徒たちが1日に必要な33%と定められている。カルシウムは他の栄養素に比べて吸収されにくいので、必要摂取量の約50%「300mg~400mg」と定められている。(低学年の児童は少なめ)

牛乳200ccあたりのカルシウム含有量は約200mg。つまり、国が定めた必要量を手っ取りばやく満たすことができるのが「給食の牛乳」なのだ。三条市の場合、みそ汁に大量のいりこ(煮干し粉)を追加することによってカルシウムを補っている。

現在では改善されているのかもしれないが、試験期間中における子どもたちの受けは良くなかったらしい。生臭い、粉が喉に詰まる……当時の子どもたちの苦情が、三条市教育委員会がまとめたPDFファイル内で報告されている。

【PDF】今後の学校給食のあり方について

パン給食が主流だった昭和時代ならともかく、学校給食法における「完全給食(ミルク付き給食)」は、2016年現在では栄養学的理由しかない。三条市は、給食から牛乳をはずす代わりに「煮干し粉」や「カルシウム豊富な野菜」を増やすことによって、戦後日本における呪縛のひとつに敢然と立ち向かったと言える。

給食費の問題

牛乳を廃止しようとする意向のなかには、学校給食費を圧縮したいという思惑があったのかもしれない。三条市の1日あたりの給食費は、献立の内容とあわせて一般公開されている。

小中学校 給食だより – 三条市

【給食費】
小学校 276円
中学校 322円

【PDF】平成27年度 三条市学校給食調理場給食費会計収入支出予算書案

給食費は「主食+副食」の合計金額だ。それとは別に、牛乳代は「51.58円/日」と書いてある。児童1人あたり20日で1000円。年間1万2千円ということになる。三条市内の30校を合計すると、年間あたりの牛乳代は3300万円だ。

成長と健康のことを考えれば毎月1000円の牛乳代なんて安いものだが、金銭感覚は人それぞれだ。世の中にはさまざまな事情がある。

給食費と申し込み方法について 豊中市

大阪府豊中市における事例。牛乳アレルギーや乳糖不耐症の子供のために「飲用牛乳除去申込書」が用意されている。市役所ホームページからダウンロードできる。もちろん役所や学校にも配置されているのだろう。牛乳1本あたり50~60円という記載がある。

日本人の乳糖不耐症について

学校給食にかかわらず「牛乳不要論」「牛乳悪玉論」の是非に関して議論するときに、必ずひきあいに出されるのが「日本人の多くが乳糖不耐症でありカルシウムをうまく吸収できない。ひどいときには下痢してしまう。すなわち牛乳は健康を害する」という言説だ。

これについては、先ほど紹介した「一般社団法人Jミルク」が、わりと納得できる資料を制作してインターネット上に一般公開している。

知っておきたい! 牛乳力 -学校教職員のための食育読本- | 教材・資料ダウンロード | Jミルク

牛乳を見つめ直す 児童・生徒の成長のために | 教材・資料ダウンロード | Jミルク

改訂版 牛乳がわかる50+3問 | 教材・資料ダウンロード | Jミルク

生乳業界のロビー団体が発行しているので、当然「乳業関係者」寄りの内容だが、すくなくとも非科学的なことは書いてない。山一證券倒産と同じくらい世間を震撼させた雪印集団食中毒事件ショックで懲りているのだろう。

三条市の給食行政 最新情報ページ

三条市学校給食運営委員会 – 三条市

三条市の給食 食べ残しが減少|地域|新潟県内のニュース|新潟日報モア(2016/03/01)

ちなみに「わかめごはん」と「牛乳」の相性はバツグンだと思う。小学生のときに好きだった組み合わせ。おかわりした。

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