自作解題『コンビニ病棟』

『コンビニ病棟』は、持ち球をすべて詰め込んだぜんぶ盛りの作品集だった。


コンビニ病棟 ショートショート傑作選

Kindleストアに提出してから5年を経た現在、あらためて収録作品をながめると、間引きたい欲求に駆られる。自作解説もかねて採点してみよう。

■コンビニ病棟
中華まん、おにぎり、おでんを擬人化して狂ったことを喋らせた。筒井康隆『虚航船団』のパロディである。

■機械のジェンダー
冴えない男と、女性性を備えた自動販売機とのやりとりを描いた。ちなみに、修羅の国・福岡県では缶ジュースを1本買うのにも命懸けである。なぜなら取り出し口には高確率でセアカコケグモが潜んでいるからだ。

■ポケットティシュー配りの少女
マッチ売りの少女をパロディにした。貧乏な女の子がアルバイトをしているが、ノルマを果たせず、残りを燃やして暖を取っていると、炎のなかに幸せそうな家族の姿が投影される。しかし、そのあと悲劇が!?

■歩くのはイヤだ ○
ドラクエパロディシリーズ。冒険者たちがキャンピングカーを購入する話。宿屋代の節約になり、モンスター達を轢き殺しすこともできるので、冒険がラクになる。

■イベント拒否
とある船長の娘が、モンスターに誘拐された。冒険者達は船舶が必要なので、そのイベントを解決しなければストーリーが進まない。敵の根城は……原子力発電所。冒険者たちが「放射能がこわい」と言うと、「毒消し草をたくさん買っていけ」というアドバイスを受ける。

■眠れない宿屋
ちょっとイマイチな内容。わかりにくい。

■クリーンな冒険
発想は面白いけど、これもイマイチ。

■ウソだぴょん
タイトルが恥ずかしい。魔法使いの少女が、いつまで経っても魔法を覚えない。勇者たちが詰め寄ると、経歴詐称が発覚。これは当時、政治家の経歴詐称事件で盛り上がっていたことから着想を得た。古賀潤一郎?

■勇者たちの反乱
全滅して、王様に「しんでしまうとは なさけない」と言われて、冒険者たちがキレる話。書いているときは楽しかったが、いまいちキレがない。

■薬草カレーライス
経歴詐称がバレた魔法使いの少女が、いまだに冒険者パーティーに居残っている。裏設定だけど、春を鬻いでいるのだ。まかない係も兼ねている。材料がないので、えてして余りがちな薬草を材料にしてカレーライスを作る話。

■勇者は高卒
これも書いているときは楽しかったが、あとで読み直すとイマイチ。

■地下百二十六階にて
ラスボスを倒すために必要な伝説の武具をもとめてダンジョンの奥深くまで進むと、そこには伝説の道具屋がいた。三種の神器があきらかになるのだが、それは意外なものばかり。文末の「うまくいけば自殺したりする」という終わり方がお気に入り。

■不祥事ガール
冒険者たちの獲得経験値を計測している業者のお話。レベルアップ時の音は、彼らによって奏でられている。発想は悪くないけど、イマイチかも。

■魔王カルピス
イマイチ。でも、いまから思えば『まおゆう』や『はたらく魔王さま』それ以外にも、JRPGのパロディで人気作っていうのがあるわけで、おれも長編書いておけば良かったと思う。飽きっぽい奴は大成しないね。

■殺人=カツ丼
シュールなショートショート。これは、小学館が募集していた1,000字小説とかいうのに応募するために書いたはず。アリの穴にも投稿したはず。

■没落天使アンダギちゃん
人間界に来てすぐに急性盲腸炎になった天使キャラのかわいそうな物語。健康保険証がないので、どうやって医療費を支払うかで揉める。書いた当時に『撲殺天使ドクロちゃん』が好きだったので着想を得た。「ぴぴるぴるぴぴるぴ〜」は、アブラカダブラ以来の名呪文。いつまでたっても諳んじることができるから。

■ラノベ息子
異世界から美少女がやってくることが珍しくない世界の、ある家族の情景。ドラえもんは学習机の引き出しから登場したけれど……。ちょっとオチがわかりにくいかも。

■給食のおぢさん
変態を書いた。シュールな内容で読者は戸惑うだろうけど、作者のエゴだといわれようとも、これは収録したい。わかめご飯へのこだわり。

■お母さーん
マジックリアリズム(もどき)に挑戦した。アリの穴に投稿したら、おもいのほか評判が良かった。

■どうせなら1億
イマイチ。なぜか小説家になろうでは評判が良かった。

■パラノイア亭
ラーメン屋にはいったつもりだったが、そこはラメーン屋だった。シュール。

■コンビニ・キャッツアイ
これもマジックリアリズム(もどき)を目指して書いた。わるくないんだけど、わかりにくいかも。

■物語は終わりを迎える。
前衛小説。本文中でいっさい「。」つまり読点を使わないという実験作。わりと評判が良い。

■パイナップルが国を滅ぼす
これはドラクエパロディシリーズの発端となった小品。あらためて読むと、何がやりたいのかイマイチわからない。

■日産・マリア・プレマシー
前衛小説で、マジックリアリズム(もどき)。幼女がスコップを使って砂場を掘っていると、なぜか幼女のアソコが濡れてきて……というけしからん内容。お気に入りのひとつ。

■青ネギと散弾銃
青ネギを売っていた八百屋の主人公が、ふと気がつくと散弾銃をもって銀行内にいた。おれが胡蝶の夢を書くとこうなる。評判も良いし、おれのお気に入りでもある。

■泣き笑いエスパー人生
イマイチ。時間停止能力を備えた少年の苦悩を書いている。

■勝ち組サハラ
イマイチ。単にデキが悪い。

■天空のパシリスト
イマイチ。舞空術が使える高校生の話。これらのショートショートは2006年前後に書いていたと思うが、おれはライトノベルというものを理解できていなかった。とにかく主人公が超能力使えるのがラノベだと思い込んでいた。

いまだから言うけど『絶対すくみず黙示録』は、涼宮ハルヒの憂鬱とキノの旅と撲殺天使ドクロちゃんを読みかじったラノベ知識だけで書いた。だから、あんなよくわからん仕上がりにあった。


絶対すくみず黙示録

とはいえ、現代のラノベは2000年前後のエロゲのある種の自由な創作環境に近づきつつある。とくにホビージャパンHJ文庫あたりの身もフタもない感じには注目している。

■八十五円の領収書
これはマクドナルドが85円バーガーを売っていたときに書いた。悪くない出来だと思っている。

■道具屋うまー
おれは好きなんだけど、言葉が足りないから読者にはオチがわかりにくい。読み返すと恥ずかしくなる。

■校長デービル
自分で言うのもなんだが、これは良い出来に仕上がった。母校の校長のフルネームを言える生徒がはたして何人いるだろうか。

■チロルの錬金術師
チロルチョコを黄金に変えられる能力者にまつわるラノベ。発想は面白いでしょ? これも、ライトノベルというものを理解せずに書かれた残念な作品。当時、小説家になろうで連載していて、コンセプトが「小説家になろう読者が好きそうな登場人物を書く」というものだった。途中で面倒くさくなった。

以上。


コンビニ病棟 ショートショート傑作選

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