映画『イコライザー / The Equalizer 』の好きなシーンを3つ挙げる

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まえがき


イコライザー (字幕版)

この映画を知ることができたのは、施川ユウキの漫画『バーナード嬢曰く。』のおかげだ。

バーナード壌曰く。第2巻 施川ユウキ 134ページ

施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』第2巻・134ページから引用

『バーナード嬢曰く。』第2巻にて紹介されている小粋なワンシーンを観てみたくなり、せっかくだから残虐描写が無修正版のディスクを探して観ることになった。

当該シーンは期待通りのものだった。なによりも個人的オールタイムベストに加えたくなるほど「大当たり」の映画だった。以来、なんども折にふれては観ている。

実生活のなかで気分がふさき込んだときに、おれは映画を再生する。迷いによって逡巡しているときは『イコライザー』を再生しているモニタをぼんやり眺めては、なにかを新たに感じ取って、いくつもの夜を生きて乗り越えながら、まだ死なずにいられる。

深夜のダイナーで読書する

デンゼル・ワシントン演じるのは、マッコールという初老のおとこ。

通勤でにぎわう電車に乗って、職場では常連客や同僚たちと軽口をたたきながら、勤め先のホームセンターで夕方まで働いている。

一皿にまとめた手作りのささやかな晩餐を済ませたあと、深夜2時すぎになっても眠れず、マッコールは近所のダイナー(24時間営業のカフェ食堂)へ向かう。

マッコールが窓際のいつもの席に腰をおろすと、こころえた足取りでダイナーの主人が近づいてくる。テーブルに置いたマグカップに熱湯だけが注がれると、すかさずマッコールは自宅から持参してきたティーバッグを慣れた手つきで放りこむ。

映画『イコライザー』(字幕版)から引用

・ティーバッグの中身は、おそらくカモミール等のハーブ。
・事前の取り決めでコーヒー代を支払うことになっている。

上記いずれも、いち観客の推測にすぎない。本編において、マッコール自身が「眠れないと告白する」「ヘルシー志向の食生活をしていたり肥満体の同僚をいさめる」等の描写があるので、当たらずといえども遠からずでは。

さいきん24時間営業のファミレスが減りつつある。おれはモーニングタイムにドリンクバーを使うときに、マッコールの真似をしたくなる。なかでもガストはドリンクバーにおけるティーバッグの品ぞろえが豊富である。『イコライザー』を再現できる。お試しあれ。

顔なじみの娼婦とことばを交わす

おなじ時間帯のダイナー利用者には若い娼婦がいる。
クロエ・モレッツ演じる娼婦アリーナは、マッコールとはすっかり顔なじみになっており、先述した「魚釣れた?」(ソフト版では「もう釣り上げた?」」という小粋なやりとりがおこなわれる。

マッコールは「ボブ」と名乗るが、娼婦アリーナに「ボブはテレビを観る。本を読むのはロバート」「だから、あなたはロバートって感じ」と言われる。

このとき──それまで余裕の笑みをみせていたマッコールがうろたえてしまう。本名を言い当てられたからだ。

いち観客の推測だが……「ロバート」と言い当てられる前までは、マッコールは娼婦アリーナに対して見くだしたり哀れんだりまではしなくても、付かず離れずの視線を向けていた。しかし「ボブではなくロバートであること」すなわち本質を見抜く眼をもっている相手だとわかってからは……向き合わざるをえなくなった。

ロバート・マッコールは隠遁者として余生を過ごしているが、じつは「不完全燃焼」のまま現在の境涯におちいった経緯(いきさつ)がある。このあと物語が進むにつれて、ロバート・マッコールが「生まれてきた理由」を知ることになる。それは娼婦アリーナによってもたらされる。

ネタバレはしない。すくなくとも「殺人マシーンと娼婦による恋愛」とかいう安っぽい展開はない。この映画にラブストーリーは含まれない。マッコールはレオンほど純情ではないからだ。

インタータイトルがシビれる

『イコライザー』冒頭で、暗幕に映し出されたインタータイトル(エピグラフ)が好きである。

イコライザー インタータイトル

映画『イコライザー』(字幕版)から引用

The two most important days in your life are the day you are born and the day you find out why.
– Mark Twain

人生で一番大切な日は
生まれた日 と 生まれた理由がわかった日
M・トウェイン

──『イコライザー』から引用

静謐なピアノBGMと共に表示されるこれを眺めるために観る、といっても過言ではない。

生まれなければ、そのひとは存在しない。だから大切な日である。
たとえ生まれたとしても、この世に生を受けた理由がわからないままでは、やがて死を望むようになってしまう。

まさしく『イコライザー』という映画は、ロバート・マッコールという男が諦念を漂わせた余生をおくるなかで、思いがけずに生まれた理由を知るまでの経緯(いきさつ)を描いている。

生まれた理由。宿命というほど大げさなものではない。生きているなかで「これをおこなうために生まれたのだ」という啓示。ひらめき。それこそが「生まれた理由」である。と、おれは解釈した。

デンゼル・ワシントン主演。映画『イコライザー / The Equalizer』。キャッチフレーズは「必殺仕事人」といったところだが、じつは殺しのシーン以外にも見どころが多い。観てください!