KDP作品の極私的ランキング(つんどく速報2013年11月に担当したもの)

2013年11月は、14作品をレビューした。

2013年11月 : つんどく速報(電子書籍の感想・レビュー) – 電子書籍の個人出版を応援するレビューサイト

三段階評価の意味

……実力と才能を感じた
……水準に達していた
……着想は良かった

「作品(Contents)」を相対評価したものだ。「著者(Author)」を絶対評価したものではない。おなじ作者であっても成果物の品質や完成度にはゆらぎがある。

第1位


東京フラッパーガール 1
杉浦絵里衣(著)
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第2位


マンガで食えない人の壁
NPO法人NEWVERY内 トキワ荘プロジェクト(著)
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第3位


歳と一
橋北 千鶴(著)
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第4位


サマータイムリバース
赤井五郎(著)
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2013年11月の総評

第1位の杉浦絵里衣は、大正時代~昭和20年(大戦末期)ごろの世情や風俗、いわゆる「大正ロマン」や「昭和モダン」を取り入れた小説を書く。いつかツイートで『街の灯』(北村薫/著)が好きだと言っていた。好きこそものの時代考証によって作品の隅々にまで当時の再現が行き届いてる。

第2位のトキワ荘プロジェクトは、その名のとおり新人漫画発掘のための試みだ。商業デビュを目指すクリエイターのためにシェアハウスを提供している。結果を出しており、何人もの書き手がプロデビューを果たしている。今回紹介した『マンガで食えない人の壁』は、漫画家志望者だけでなく広く出版業界にかかわるつもりのクリエイターに必要な「処世術」を解説している。

第3位の橋北千鶴は、新撰組の二次創作を書いている。じつは土方歳三は女性であり、斎藤一と恋におちる。そういう内容だ。まさに明治剣客浪漫譚である。ボーイズ・ラブではない。男女性転換ものだ。本作では、土方は五稜郭で戦死していない。IF歴史小説でもある。たいへん面白かった。いまでもつよく印象に残っている一作だ。

第4位の赤井五郎は、SF小説とミステリを愛するインディーズ小説家だ。今回紹介した『サマータイムリバース』は、日本版のKDP黎明期における傑作ミステリのひとつだ。著者本人は『七回死んだ男』(西澤保彦/著)のオマージュだと述べているが、あの作品とは異なる趣を達成している。

第7位の会崎秀図は、ロスジェネ世代のコンピュータゲーム批評家である。1970年代生まれ、バブル崩壊後の就職氷河期に社会人デビューした世代だ。日本のKDPにおいて「評論」ジャンルの書き手は少ない。著者いわく「ゲームで遊んだ記憶は、今を生きるための資源である」と。まさにロスジェネ以降の日本人にとっては明解な定義だとおもう。優れている。

第8位の月狂四郎は、ヒールである。靴ではない。四郎は人間だ。悪役(ヒール)である。インディーズ小説家としての活動のかたわら、日本のKDP界隈における作家同士の馴れ合いや足の引っ張りあいなどの志の低さを「わなび小説」という形で揶揄することによって他のインディーズ作家たちを挑発しまくっている。

今回紹介した『プロミス・リング』は、ボクシングを題材にしたファンタジーSF小説だ。ボクシング経験のある著者が書いているだけあって、リング上における駆け引きの描写は真に迫っている。(敬称略)

第5位


高速ぷるん1
なかせよしみ(著)
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第6位


デビューから中級者へ!ロードバイク入門の入門
とり(著)
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第7位


われらゲームの世代 デジタル・ノスタルジアの未来
会崎秀図(著)
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第8位


プロミス・リング 月狂四郎バトルシリーズ
月狂 四郎(著)
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第9位


法律事務所×家事手伝い 1 不動正義と最初のスイーツ
川口 世文(著)
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第10位


夏とロボット
青木俊直(著)
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第11位


悪兄!!
砂鐘大河(著)
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第12位


わたしと!あなたの?声春ラジオ!?
十千しゃなお(著)
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第13位


ネット出版部マガジン LAPIS(ラピス)vol.2 世界を目指すサムライSP
鈴木 秀生(著)
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第14位


妻は俺の嫁
smokeymonkey(著)
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