KDP作品の極私的ランキング(つんどく速報2013年10月に担当したもの)

2013年10月は、17作品をレビューした。

2013年10月 : つんどく速報(電子書籍の感想・レビュー) – 電子書籍の個人出版を応援するレビューサイト

三段階評価の意味

……実力と才能を感じた
……水準に達していた
……着想は良かった

「作品(Contents)」を相対評価したものだ。「著者(Author)」を絶対評価したものではない。おなじ作者であっても成果物の品質や完成度にはゆらぎがある。

第1位


僕のセイシュンの三、四日
藍田うめる(著)
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第2位


白く汚れて冷たく綺麗な
犬子 蓮木(著)
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第3位


13匹目のバナナフィッシュ
丸木戸サキ(著)
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第4位


むささびレディは君のために翔ぶ
コユキキミ(著)
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第5位


ある文章の告発
針とら(著)
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第6位


ほんとうの自衛隊のごはん 目達原駐屯地編
廣川ヒロト(著)
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2013年10月の総評

第1位の藍田うめるは、モラトリアム恋愛小説家である。専門学校生や大学生たちの群像劇を書く。もうひとつの特徴は、心の闇をかかえたドSの美少女を好んで書く。ヤングアニマルに掲載していそうなマンガっぽい。(漠然とした印象にもとづいた喩え)

藍田うめるは、抜群のステルス性能を有する。読者から視えないらしいのだ。文章はうまい、ストーリーテリングも優れている、ちょっとエッチな要素もある、それなのに作品がさっぱり読まれないからだ。おれが初めて藍田うめるのインディーズ小説を読んだときには「きっとデビュー済みの職業作家が偽名で書いているにちがいない」と感じた。Kindleストアにおける無料キャンペーンを実施してもダウンロード数がきわめて少ない。原因不明。いまでもおれは不安な気持ちでいる。つんどく速報レビューで取り上げることによって呪いをかけてしまったのかもしれない。

第2位の犬子蓮木は「いぬこ・はすき」と読む。わんわん。森博嗣を崇拝している。積極的に作品のプロモーションをおこなわないので目立たないが、書くものは確かだ。優れている。

第3位の丸木戸サキは、タロット小説家である。優れている。最新シリーズ『魔女のアルカナ文庫』は、ひねくれ者が多いAmazonレビュワーたちから絶大な支持を得ている。

第4位のコユキキミの『むささびレディは君のために翔ぶ』はシングルマザー問題を扱っている。むささびレディはスーパーヒーローであり、生後11ヶ月の娘をもつ未婚の母である。シリアスにならないように工夫されたギミックが見事だ。続編『むささびレディは君のために飛ぶ ~日本死ね死ね団の誕生~』(仮題)の刊行が待たれる。

第5位の針とらは、商業デビュー済み。詳しいことは KDP作品の極私的ランキング(つんどく速報2013年03月に担当したもの)で書いた。今回紹介した『ある文章の告発』は、別冊文藝春秋新人発掘プロジェクトの最終候補作である。

第6位の廣川ヒロトは、元・陸上自衛官だ。『ほんとうの自衛隊のごはん』シリーズは、実際の駐屯地や基地を取材したミリタリー・グルメ・ルポルタージュである。著者は福岡県在住だが、これらの本を書くために、長崎県や広島県まで自腹で交通費を支払って取材に行っている。

KDPには元自衛官の著者もいる。知っているだけで5人いる。その多くの著者が、自衛隊経験をもとにしたフィクションやノンフィクションを書いて世に問うている。(敬称略)

第8位の山田佳江は、顔出しインディーズ小説家である。3児のママである。威風堂々である。ただし、山田佳江は本名と見せかけてペンネームである。おれは本名だと思っていたのである。うまく騙されたのである。代表作は『未来少女ミウ』である。日本版KDPの黎明期において藤井太洋『Gene Mapper』と並び称されていたインディーズSF小説である。優れている。

第9位の橘川真古一は、『限界集落株式会社』とおなじテーマのインディーズ小説を発表している。今回紹介した『こくいきさん』は、僻村の因習ホラー小説と見せかけて「農業復興によって限界集落を救う」という現代的なテーマをあつかっている。『限界集落株式会社』とおなじくらい面白かった。

第13位のたまねぎは、株で成功した。日本版KDPが開始した2012年10月ごろは折しもアベノミクス景気のはじまりである。たまねぎは、アベノミクスの恩恵によってFXやら何やらで何千万も儲けたらしい。ブログの記述を信用するならば、だが。個人出版の著者の実生活もさまざまである。ユニーク。

第15位の晴海まどかについては KDP作品の極私的ランキング(つんどく速報2013年07月に担当したもの) で詳しく書いた。今回取り上げた『彼女はウワバミ』の装幀はインパクト大なので見てみて。

第7位


美少女キケン 薬科大生の甘い毒蜜
小波奈子(著)
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第8位


リーディング・ナイフ
山田佳江(著)
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第9位


こくいきさん
橘川 真古一(著)
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第10位


人間嫌いの理由?自称・コミュ障とぼっちが自分を理解するためのリスト50
MMミリオンセラー(著)
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第11位


台湾屋台系B級グルメ図鑑100選
旅々台北(著)
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第12位


機密符牒
敦音尚之(著)
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第13位


こうして俺は女に騙された
たまねぎ(著)
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第14位


緑眼魔女の事件簿 テロリズム・イン・チベット
狗界ゴウ(著)
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第15位


彼女はウワバミ 晴海まどか短編集
晴海まどか(著)
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対象外(ストア削除のため)

三毛猫のものさし a rule of Mi-ke
樫本 誠太郎(著)
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生命の水槽
猫田 博人(著)
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Kindleストアの販売を取りやめたようだが、ほかの電子書籍ストアで購入できる。

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