KDP作品の極私的ランキング(つんどく速報2013年08月に担当したもの) - 無才能宣言

KDP作品の極私的ランキング(つんどく速報2013年08月に担当したもの)

2013年8月は、18作品をレビューした。

2013年08月 : つんどく速報(電子書籍の感想・レビュー) – 電子書籍の個人出版を応援するレビューサイト

三段階評価の意味

……実力と才能を感じた
……水準に達していた
……着想は良かった

「作品(Contents)」を相対評価したものだ。「著者(Author)」を絶対評価したものではない。おなじ作者であっても成果物の品質や完成度にはゆらぎがある。

第1位


ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side A ナイン・ストーリーズ
晋太郎(著)
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第2位


江戸のカルト・稲毛屋金右衛門の御蔵門徒潜入記
平賀 泥水(著)
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第3位


マッキータウンぶっく1 ~東京近郊自転車コースガイド~ ツーリング&ポタリング編
とり(著)
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第4位


Point Kill G [完全版]
夏居暑(著)
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第5位


幻覚少女
根本聡一郎(著)
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第6位


飯田譲治が語る「沙粧妙子最後の事件」と「NIGHT HEAD」
飯田譲治(著)
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第7位


45歳からのアニメ入門
安田理央(著)
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第8位


ドアノッカー
牛野小雪(著)
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2013年08月の総評

第1位の晋太郎は、一貫してゲイをテーマにした小説を書いているインディーズ作家だ。門外漢の読者としては甲子園球児のBL小説を読むのには勇気がいる。思いきって読んでみたら良質な青春小説だった。しかも、甲子園予選で敗退したのちに挫折と向き合っている球児たちそれぞれの夏休みを描いている。あからさまな同性愛描写はすくないので、身がまえなくてもよい。

第2位の平賀泥水は、歴史小説を書いているインディーズ作家である。『稲毛屋金右衛門の御蔵門徒潜入記』は、江戸中期に実在した戯作者・平秩東作を主人公にして、当時のカルト教団に潜入してついに壊滅させるまでを描いたものだ。

第3位の「とり」は、マッキータウンぶろぐ ~東京近郊自転車コースガイド~というブログを運営しているロードバイク愛好家だ。累計ページビュー数がもうすぐ200万アクセスに到達する。ロードバイク乗りにはよく知られた人気ブログのようだ。まったりとした文体と豊富な風景写真をもちいてツーリングやポタリングのレポートを更新しつづけている。

「マッキータウンぶろぐ」はライブドアブログを利用しているので、同サービスのEPUB作成機能によって過去ログを整理してまとめるかたちで電子書籍を生成しているようだ。今回紹介した第1巻には約1500枚の写真が収録されている。

じつは「とり」というインディーズ作家は、知られざるセルフパブリッシング成功者だ。2013年に第1巻を発売してからというもの着実に続刊を重ねており、有料販売およびレンタルの読者があとを絶たない様子であるからだ。具体的なロイヤリティ総額は不明だが、Kindleストアのランキングや3年間のツイート内容から推測すると、もうすぐ三ケタ万円に迫るのではないか。読まれるには理由があるはずだ。一連のツーリングレポは、もはや単なる日記ではなく、採算度外視で作られた東京周辺のツーリングガイドマップとしての価値をそなえているのだろう。カメラ+ロードバイクという組み合わせは、働きざかりの20代~40代男性たちにおける趣味トレンドとして最近ますます盛り上がりをみせている。これからも売れ続けるのは間違いない。

第4位の夏居暑は、ノワールを得意とするインディーズ作家だ。陰謀主体やアンダーグランド勢力や支配者層の既得権益に強い憤りを覚えつつも、著者自身が「悪徳」や「ダークサイド」にシンパシーを感じているのが明らかで、そんな二律背反の嗜好を原動力にして生み出される作品群からは、誰もがいままで嗅いだことのないふしぎな魅力を匂い立たせている。

第5位の根本聡一郎は、セルフパブリッシングには珍しい「欠点が見当たらない」80点台の書き手であると記憶している。今回紹介した『幻覚少女』をふくむ作品集『少女症候群』が発売中。

第6位の飯田譲治は、著名なシナリオライターである。『NIGHT HEAD』『沙粧妙子-最後の事件-』『ギフト』など、観応えがあった90年代のテレビドラマを象徴する作り手のひとりだ。小説家として何冊も出版しているので、おれごときがいまさら評価すべきことは何もない。

第7位の安田理央は、成人雑誌&サブカルチャー界隈では有名なフリーライターだ。すでに何冊も単著や共著がある。個人ブログで連載していたアニメ入門記事が好評を博したのでセルフパブリッシングで出版した。おもしろかった。

第8位の牛野小雪は、現在もっとも注目すべきインディーズ小説家である。鳥山明『DRAGON BALL』でたとえるならば、はじめウーロンかプーアルくらいだと思っていたが、2年後にはフリーザ編のクリリンくらいに強くなっていた。まだまだ伸びしろを感じさせる有望作家だ。作品を重ねていくごとに抽象化が進んでいる気がする。いつか「徳島の村上春樹」などと呼ばれる日が来るかもしれない。(敬称略)

第9位


知られざる筆跡鑑定の世界
根本 寛(著)
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第10位


夕餉を買いに / それから、蓮見先生は 京都詭弁案内
川人千慧(著)
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第11位


真夜中ラーメン同盟
舟渡攻(著)
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第12位


日本オタク大賞2010
日本オタク大賞実行委員会(著)
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第13位


飽食戦線ガダルカナル (Battleship Novels)
吉田親司(著)
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第14位


ネット出版部マガジン LAPIS(ラピス)vol.1 旅する電子書籍
鈴木 秀生(著)
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第15位


ゲームな話、入荷しました。(1)
柴田武文(著)
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第16位


休日への101の扉 1日を幸せに過ごす方法
広澤銀一(著)
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対象外(ストア削除のため)

シャンバラの住人
八幡謙介(著)
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八幡謙介は、一部のセルフパブリッシング作品(おもにフィクション)の多くをKindleストアでは販売停止にしている。本職はミュージシャンであり、音楽関係のKDP本は販売をつづけている。 

Kidnleストア以外で入手可能。
八幡謙介 作品一覧│電子書籍ストア BOOK☆WALKER
楽天ブックス: 著者名:八幡 謙介

見ざル、聞かざ流、言わざ瑠 ニュー・ワールズ・エンド
川口祐海(著)
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川口祐海の同作品は、のちに、エブリスタ主催で石田衣良が審査員をつとめる「第2回ノベリスタ大賞」(審査委員・石田衣良)を受賞した。(敬称略)

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