KDP作品の極私的ランキング(つんどく速報2013年07月に担当したもの)

2013年7月は、17作品をレビューした。

2013年07月 : つんどく速報(電子書籍の感想・レビュー) – 電子書籍の個人出版を応援するレビューサイト

三段階評価の意味

……実力と才能を感じた
……水準に達していた
……着想は良かった

「作品(Contents)」を相対評価したものだ。「著者(Author)」を絶対評価したものではない。おなじ作者であっても成果物の品質や完成度にはゆらぎがある。

はじめに

この月は実力者ぞろいである。ポーカーでたとえるならば、まさにウルトラ・スーパー・デラックス・ロイヤル・ストレートフラッシュというところだ。ランキング形式の都合上により順位づけをおこなったが、上位5位それぞれには0.5ポイント程度の差しかない。どれを読んで損はない。

第1位


鋼牙 / 試製一〇式装甲歩行機開発記
齋藤三弥(著)
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第2位


アニウッド大通り 1: アニメ監督一家物語
記伊孝(著)
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第3位


もしも矢沢永吉が『桃太郎』を朗読したら
星井七億(著)
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第4位


仮面騎士
***(著),不浪児(編)
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第5位


そして、世界は静寂を迎える
晴海まどか(著)
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第6位


Testament ‐テスタメント‐(上巻)
栗見 鳴(著)
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第7位


ブログエイジーイケダハヤトのブログ農耕ライフ
イケダハヤト(著)
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第8位


光速文芸部 九院高校文芸部シリーズ
きうり(著)
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2013年07月の総評

第1位の齋藤三弥による『鋼牙 / 試製一〇式装甲歩行機開発記』は、昭和16年に日米開戦を回避したあと、大日本帝国がボトムズのような軍用レイバーのような歩行ロボットを開発したら……というIF歴史小説。インディーズ出版の名作である。

第2位の記伊孝は、商業デビュー済みの漫画家だ。『アニウッド大通り』はニコニコ動画のマンガ投稿サービスであるニコニコ静画で個人的に無料公開していた作品だ。数十万ページビューを記録する人気作品であり、それを作者がKDPを利用してKindleストアで販売していた。

2014年9月には星海社を版元として単行本を発売。星海社版は第3巻まで発売している。KDP版のほうが先行しており、2016年現在のシリーズ既刊は8巻。テキトーな予言をしておくと、たぶんシャフトか京アニか長井龍雪がいつか映像化に名乗りをあげるだろう。日本のアニメーターたちがこの作品を放っておくはずがない。

第3位の星井七億は、いわゆる天才だ。数々のショートショート小説をブログに掲載して月間100万ページビューを記録したという人気ブロガーでもある。2013年6月につんどく速報でレビューしたセルフパブリッシング本『笑いたい奴こっち来い!』は、現在Kindleストアでは購入できない。その後、2015年4月に『もしも矢沢永吉が『桃太郎』を朗読したら』(鉄人社/刊)で商業デビューを果たした。

パロディではない短編小説も優れている。底が知れない書き手である。ある日いきなり『新潮』か『群像』あたりに中編か長編が一挙掲載されて芥川賞候補にノミネートする日が来るかもしれない。一連の作品や言動をながめていると、それくらいのことは出来そうな底知れなさを感じる。

第4位の『仮面騎士』は、作者不詳の長編ノワールである。その名のとおり「仮面ライダー」のパロディ小説である。KDPではおなじみ、いわゆる「中学2年生(中二)時代の習作」をお蔵出ししたものだ。原典は「わら半紙」に手書きされていたらしく、そのスキャン画像も収録されている。つんどくレビューでも見ることができる。おバカな幻想ポルノ文学である。傑作である。

第5位の晴海まどかは、日本版KDPの黎明期である2013年から新作をつぎつぎと発表しているインディーズ出身の小説家である。2014年12月発売の『髪の毛探偵 石神くん』にて、インプレスから本格的に商業デビューを果たした。2016年には学研ブックビヨンド系のレーベル(?)である「あの出版」から『センチメンタル☆サーティ』という短篇小説集を発売している。

著者本人はYA(ヤングアダルト)を好んで書きたいようだが、おれにとっては晴海まどかといえば秀逸なサスペンスやスリラーの書き手という認識である。テキトーな放言が許されるならば、桐野夏生・真梨幸子・湊かなえなどの怖い系の作品からミステリ成分を抜いた感じ。渇いた感じ。先に挙げた3作家のうちでは、桐野作品にただよう殺伐としたアレを連想させる。

2013年から2016年の3年のあいだに発表したセルフパブリッシング単著は30タイトルを超える。今後も「5タイトル/年」以上のペースで増え続けることが予想される。またしてもテキトーな予言をすると、晴海まどかは遅くとも2018年末までには単著で10万部単位のヒットがあるのではないか。数撃ちゃ当たるではないが、確率論からいって晴海まどかが出版人としてブレイクするのは時間の問題だとおれは見ている。たぶんホラーとかサスペンスとかスリラー系だと思う。

第6位の栗見鳴は、サイコミステリ長編『Testament ‐テスタメント‐』のラストシーンがすごかった。こういうテレビドラマにできないネタは好きだなあ。つんどくレビューでは書かなかったけど、PC98の名作AVG『エスの方程式』っぽい雰囲気である。好きだなあ。

第7位のイケダハヤトは、人気ブロガーである。KDPに関係なく、すでに商業出版社から何冊も単著を出している。2016年5月現在、KDP本のロイヤリティだけで数十万円/月レベルだと報告している。

 
第8位はきうり。『光速文芸部』は、いつまでも印象に残っている。(敬称略)

第9位


奪還MTB・プジョーVTT-905盗難~奪回までの道のり
空条HYO太郎ヲ(著)
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第10位


俺の棒銀と女王の穴熊〈1〉
アライコウ(著)
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第11位


路上生活365日
斉藤竜明(著)
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第12位


風俗嬢の裏! 裏の裏! 欲望電子文庫
安田理央(著)
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第13位


ドット絵描こうZ-ドット絵の基礎と描き方-
前田 鳥(著)
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第14位


デイトレ探偵 エピソード1 犬に訊け
ますもと・てつろう(著)
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第15位


キヒロ劇場
新井キヒロ(著)
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第16位


ラブペねトレイション ラブペネトレイションズ
米(著)
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対象外(ストア削除のため)

“ひとり国土地理院”の入門書が電子書籍で発売!『架空地図のたのしみ方』
志歌寿ケイト(著)
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